Q.医療法人は、都道府県知事に対して事業報告書等の届出を行う必要があるのでしょうか?

A.医療法人は、都道府県知事に対して事業報告書等の届出をしなければなりません。

1.事業報告書等の作成
第五次改正医療法の第51条第1項では、医療法人の透明性の確保を図るため、医療法人は毎会計年度終了後2ヶ月以内に、事業報告書、財産目録、貸借対照表、損益計算書、その他厚生労働省令で定める書類(以下「事業報告書等」といいます)を作成する必要がある旨が定められました。作成された事業報告書等は、理事が監事に提出することとされています(医療法第51条第2項)。監事は監査を行い、監査報告書を作成することになっています(医療法第46条の4第7項第1~3号)。

2.事業報告書の記載事項
事業報告書に記す事項には、「医療法人の概要」及び「事業の概要」があります。
(1)医療法人の概要
「名称」、「事業所の所在地」、「設立認可年月日」、「設立登記年月日」、「役員及び評議員」を、「医療法人の概要」の項目には記します。
これらのうちの「役員及び評議員」に記載するのは、役員の種別、氏名、職務等ですが、社会医療法人及び特定医療法人以外の医療法人については記さなくても構わないことになっています。
(2)事業の概要
「本来業務」、「附帯業務」及び「収益業務」の概要だけでなく、「当該会計年度内に社員総会又は評議員会で議決又は同意した事項」等も、「事業の概要」の項目には記します。

3.それぞれの事務所での開示
医療法人(社会医療法人を除きます)は、次に掲げる書類をそれぞれの事務所に備えて置く必要があり、その社員(財団たる医療法人の場合は評議員)又は債権者から請求されれば、正当な理由がある場合以外は、これらの書類を閲覧に供しなければならないことになっています。
・定款(財団たる医療法人の場合は寄付行為)
・事業報告書等
・監事の監査報告書
2007年4月1日以後に始まる会計年度について、このように取り扱われています。
なお、上記の「正当な理由がある場合」に当てはまるのは、個人情報の保護や法人の業務の運営が不当に侵害される可能性がある場合、法人の執務時間外における閲覧請求の場合等です。

4.都道府県知事に対する届出及び都道府県での開示
医療法人(社会医療法人を除きます)は、一定の期間内に、次に掲げる書類を都道府県知事に届け出ることになっています。
・事業報告書等
・監事の監査報告書
届出がなされたこれらの書類等について請求があった場合、都道府県知事は正当な理由があるかどうかに関係なく、閲覧に供しなければなりません。債権者等のみならず、一般の人も閲覧することが可能です。
閲覧の対象となっている書類は、過去3年間に都道府県に対する届出がなされた書類です。